Debian(デビアン)はLinuxカーネルを用いたオペーレーティングシステム(Linuxディストリビューション)のひとつ。Debian Projectとよばれるコミュニティーにより開発され安定性と堅牢性が特徴。Linuxディストーションの中にはDebianをベースとしたものが数多くあります。
※※以後はDebian9.4の内容※※
メジャーバージョンのDebian9は2017年6月17日にリリースされ5年間サポート予定です。バージョン9.4は2018年03月10日にリリース。
システム要件(デスクトップ環境あり)
最小 | 推奨 | |
---|---|---|
RAM | 256MB | 1GB |
HDD | 10GB |
Debianは複数のデスクトップ環境を使えますが、デスクトップ環境大ざっぱに表にすると下記のような感じになります。
起動時間(秒) | スタイル | メモリ(MB) | 動作 | デザイン | |
---|---|---|---|---|---|
GNOME | 47 | スマホ | 711 | 重い | モダン |
Xfce | 50 | Mac | 478 | 中 | 従来型 |
KDE | 70 | Windows | 893 | 激重 | モダン |
Cinnamon | 72 | Windows | 742 | 重い | モダン |
MATE | 44 | ? | 528 | 中 | 従来型 |
LXDE | 27 | Windows | 383 | 軽い | 従来型 |
起動時間はパスワード入力後からの時間です。BIOS(UEFI)終了からパスワード画面まで別途53秒必要です。
デスクトップ環境が複数あり迷ってしまいますが私なら次のような順位を付けます
【インストール】インストーラーは日本語に対応しているのでそれほど難しくはありませんが、ubuntuなどでは1画面にまとめられている内容が数ページに分かれているのとサーバー用の設定も表示されるので手順が多いです。HDD容量はデスクトップ環境を全て入れた上記のインストール方法で11.1GiB(12.0GB)、標準のみにした場合は5.95GiB(6.34GB)でした。
【起動時間】ディスプレイマネージャやデスクトップ環境によって変わりますが、2コアCPU+メモリ2GB環境の場合ログイン画面(lightdm)まで53秒、デスクトップ環境まで追加でGNOMEなら47秒・Cinamonなら1分12秒・LXDEなら27秒・MATEなら44秒・Xfceなら50秒・KDEなら1分20秒かかります(前回終了時と違うデスクトップ環境を選ぶとさらに時間がかかる事がありました)。同じ環境でWindows10を起動すると1分35秒(65+30秒)です。
【デスクトップ】インストール時に選択したデスクトップ環境「GNOME3・Xfce・KDE(Plasma)・Cinnamon・MATE・LXDE」から選べます。GNOMEはon Waylandやクラッシック、CinnamonはSoftware Renderingもあります。
GNOME3.22.2はDebianの基本デスクトップ環境です。スマートフォン風の使い勝手でホーム画面からアプリを起動してアプリの切り替えはタスク切り替え画面で行います(アプリを通常ウィンドウサイズ起動時はタイトルバーでの切り替えが可能)。またデスクトップ背景にアイコンは設置できません。タスク切り替えが多い場合は使いにくく動作も重たいです。
XfceはMac風のデスクトップ環境です。下部にドック風のアプリランチャーがあります。初期設定では下部のドックが常に表示されて画面が狭いので設定変更が必要です。処理は軽い方です。
KDE Plasma5.8.6はインストールできる中ではもっとも未来的な印象のデスクトップで、フラットデザインや半透過のメニューやアニメーション処理など見た目の演出に力が入っています。その代わりに動作が重たいです。
Cinnamon3.2.7は基本デスクトップ環境のGNOME3をベースに改良されたデスクトップ環境です。素のGNOME3と違い下部タスクバーがあるのでWindwosから移行する人には使いやすくなっています。処理は重たいです。
MATEはWindowsとMacを合わせたようなデスクトップ環境で、上部と情報パネル、下部にタスクバーがあります。処理は軽い方です。
LXDEはWindowsっぽいレイアウトのデスクトップ環境です。インストールできる中では最も軽量ですが、同時に機能も簡素になっています。
【メニュー】デスクトップ環境ごと違います。
GNOMEは左上アクティビティ→左下の9点アイコンから開きます。スマートフォン風の全画面表示でページはアプリ名順に下方向に増えます。アプリ起動はメニュー1ページ目にあればアクティビティボタンから3回クリックで起動できますがページ深いと何回もクリックが必要です。また解像度が1280×800だとアプリ名の後半が読めません。
Xfceは左上のアプリケーションボタンからメニューがポップアップします。1段目のカテゴリーはオンマウスでサブメニューが開くのでアプリはメニューボタンを含め2クリックで起動します。アプリの検索機能はありません。
KDEは左下のアイコンからメニューがポップアップします。アプリ起動は下部のアプリケーショ...をオンマウスしカテゴリーをクリックで選択するとアプリが表示されます。下の部分がオンマウスで反応するのでアプリ選択時にカーソルが下に行き過ぎるとページが切り替わってしまうので使い勝手はあまり良くありません。
Cinnamonは左下のメニューボタンかららメニューがポップアップします。左側に終了や設定などアイコンがあり、アプリの起動は中央のカテゴリをオンマウスで選ぶと右側にアプリが表示され、メニューボタンを含め2クリックで起動できます。
MATEは左上のアプリケーションボタンからメニューがポップアップします。1段目のカテゴリーはオンマウスでサブメニューが開くのでアプリはメニューボタンを含め2クリックで起動します。Xfceに似ていますが設定や終了が別ページになっていて、アプリケーションの右側の場所とシステムから表示します。
LXDEは左下のアイコンからメニューがポップアップします。1段目のカテゴリーはオンマウスでサブメニューが開くのでアプリはメニューボタンを含め2クリックで起動します。
【アプリウインドウ】デスクトップ環境ごと違います。
GNOMEはタイトルバーに終了ボタンしかなく最小化・最大化ボタンがありません。ウィンドウを画面端にスナップすると自動的に画面の半分(左右2分割)で表示するウィンドウスナップ(エアロスナップ)に対応しています。
Xfce:一般的なウィンドウ構成にプラスしてタイトルバーだけにするボタンあり、4分割と左右2分割のウィンドウスナップ(エアロスナップ)に対応しています。
KDE(Plasma):一般的なウィンドウ構成、4分割と左右2分割のウィンドウスナップ(エアロスナップ)に対応しています。
Cinnamon:一般的なウィンドウ構成、上下または左右2分割のウィンドウスナップ(エアロスナップ)に対応しています
MATE:一般的なウィンドウ構成、左右2分割のウィンドウスナップ(エアロスナップ)に対応しています
LXDE:一般的なウィンドウ構成、ウィンドウスナップ(エアロスナップ)がありません
【アプリ】標準デスクトップ環境(GNOME)では次のアプリがインストールされるので、インターネット・メール・オフィスなど軽作業ならすぐできます。複数のデスクトップ環境をインストールするとターミナルやファイルマネージャなど管理系のアプリが重複してインストールされるので使わないデスクトップはインストールしない方が良いです。
ブラウザ | FirefoxESR | メール | Evolution | |
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メッセージアプリ | Polari | オフィス | LibreOffice | |
BitTorrent | Transmission | 写真整理 | Shotwell | |
お絵かきソフト | GIMP | ドローソフト | Inkscape | |
音楽 | Rhythmobox | 音楽 | GNOMEミュージック | |
CD作成 | Brasero | Webカメラ | Cheese | |
スキャナ | Simple Scan | 録音 | サウンドレコーダー | |
ドキュメント閲覧 | ドキュメント | 電子書籍閲覧 | ブック | |
ビデオ | Totem | 辞書 | GNOME辞書 | |
ゲーム | Five or More | ゲーム | GNOMEマインスイーパ | |
ゲーム | GNOME上海 | ゲーム | GNOME数独 | |
ゲーム | Hitori | ゲーム | lagno | |
ゲーム | Klotski | ゲーム | LightOff | |
ゲーム | Nibbles | ゲーム | Quadrapassel | |
ゲーム | SwellFoop | ゲーム | Tali | |
ゲーム | Taquin | ゲーム | Tetravex | |
ゲーム | チェス | ゲーム | ロボット | |
ゲーム | 四目並べ | 日本語入力 | Mozc |
【設定】デスクトップ環境ごと違います。
GNOMEは一つの設定アプリにまとめられています。一覧表示では英語表記になっていますが設定項目は日本語化されています。デスクトップ関係の設定項目はあまりないのでカスタマイズはできません。
Xfaceは設定マネージャーにまとめられています。日本語化もされています。
KDE(Plasma)はKDEシステム設定にまとめられています。日本語化されてない部分があります。
Cinnamonはシステム設定にまとめられています。日本語化されてない部分があります。
MATEはコントロールセンターにまとめられています。設定項目は日本語化されています。
LXDE:デスクトップ設定はOpenbox Configuration Managerで行いますが日本語化率は低いです。ハードウェア設定は個別行います。こちらはほぼ日本語化されています。
【メモリ】メモリ2GB時のメモリ状況です。全体的に2GBあれば動作しますがKDE Plasmaは使用可能(available)が1GBを下回っているので沢山アプリの起動するとスワップが発生します。逆にLXDEはかなり軽くメモリ1GBでも動作しそうです。
【操作感想】CPU2コア・メモリ2GB環境での動作はデスクトップ環境によります。LXDEが一番軽く、MATE・Xfaceはそこそこ軽く、GNOMEとCinamonは少し重く、KDE(Plasma)はそこそこ軽い時と激重の時があると言った感想です。
Debianはプロプライエタリ(フリーでは無い制限のある)なコードを使わない方針のためUbuntuと比べるととデバイスドライバー類の対応が悪く、無線LANが使えない・GPUが基本ドライバーで動作など、特にノートパソコンなどで使う場合にトラブルが出る事が多く自分で対処する必要があります。
【まとめ】